西穂高岳
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 救急車も救助も来ない!

  そのときあなたは?

 

 平成26年8月 作


救急車が来ない、救助も来ない。西三河地域では考えられないが、1854年の安政東海地震から160年経ったいま、明日にでも再び南海トラフが動いてもおかしくはない。巨大地震では、道路が寸断されたり、被害が広範囲に及ぶため、私たちのもとには一週間にわたり公的救助が来てくれなくなる恐れがあり、私たちは自力で救助したり避難したりすることを迫られている。

神戸市消防局では、「初動対応では、救助の要請があっても全勢力を消火活動に振り向ける」という方針を住民に伝えているという。苦渋の決断の背景には、19年前の阪神淡路大震災のとき、消火と救助の双方に追われ、類焼を防ぐための消火活動に集中できず、多くの死傷者を出したという苦い教訓があるからだ。

当時、がれきの中で救助を求めていた人は、35,000人いたと推計され、公的機関が救助したのは2割、残りは近隣住民たちの救助だったという。

様々なケガ人が一度に病院に殺到し、病院も機能を失ってしまったという。多数の軽傷者に追われ、命にかかわる重傷者を優先させることができず、救えた命を救えなかったのである。対応人員や物資などの資源が通常時の規模では対応しきれないような非常事態に陥った状況では、最善の結果を得るために、対象者の優先度を決定して選別を行うというシステム「トリアージ」が迫られる。死に至りかねない最重傷は赤、重傷は黄色、軽傷は緑のシールを貼る。重傷者は速やかに病院へ搬送、軽傷者は避難所内の救護所で応急手当を受ける。地域の避難所で、だれが負傷者の第1時選別、このトリアージを担うか。


   〔4種類に分類されるトリアージシート〕

手足を時間以上挟まれて、救出された人が、数時間経った後に症状が急に悪化し、死亡する。圧迫され壊死した筋細胞から毒素が発生、全身に回って死に至るというクラッシュ症候群も適切なトリアージが生死の明暗左右するという。

さて、3・11を受けて、南海トラフ巨大地震の被害想定をめぐり、20128に国が出した想定とは別に、今年530、愛知県は予想される県内の被害について、独自の調査結果を発表した。国が示しているマグニチュード9級の南海トラフ巨大地震がモデルである。死者が出る原因で最も多いのは、建物倒壊(家具転倒など含む)、次は浸水・津波。安城市では建物倒壊等により600人、となりの西尾市では建物倒壊等により1,400人及び津波・浸水により1,600人の死者がでるという。ケガ人の数は計り知れないと推定される。
政府の地震調査委員会の地震の発生確率では、30年以内の東海地震の発生確率は88%。確率が高くてもすぐ起こらない場合もあるし、低くてもすぐ起こることも多々ある。日本ではいつどこで巨大地震に見舞われるかわからない。その場で居合わせた人と力を合わせ、生き抜くことになる。そのとき、あなたの身の回りにどんなものがあって、あなたに何ができるか。日頃の備えととなり近所とのつながり、地域のコミュニティーがいかに大切か問われる毎日である。