北穂岳
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『子育てのゴールとは?』 

 平成21年5月作


卒業式と入学式が立てつづけに続いた。子どもの成長の節目といううれしい半面、離れていく淋しさが膨らんでいくことは隠せない。いつまでも、いやもうしばらく心配し続けたくもあり、一刻も早くそれから解放されたくもある。この先、子育てのゴールはどこなのか、子育ての目標は一体何だろうかと考えてみた。裏を返せば、自立とは何をもって自立と捉えたらいいだろう。 

昔だったら、元服とか、仕事に就いて親元から離れてゆくことなど、大人になる区切りがあったに違いないと思うが、いまの私たちの様子からでは、はっきりとした線は引けそうもない。しかし、途上国の子どもたちは、そんな甘いことはいってられない。選択の余地なく早くに親元から離れ、自分の食い扶持は自分で稼がなければならない過酷な現実は珍しいことではないかもしれない。 

さて友人の娘さんが、志望する大学受験に失敗して、初夏を迎えるのに、いまだに苦しんでいる。受験の失敗を、まわりの環境と母親のせいにして、実力不足な自分と素直に向き合うことができないでいる。自分への悔しさ・現実から目を背けず、きちっと受け止めなければ、次の一歩はいつまでも踏み出せない。 

自立とは、自分の責任で生きていけること、責任を自分で引き受けられることだろう。そして子育ての目標は、自分のことを人のせいにするのではなく、自分の人生を生きられるようになることだろう。数々の試行錯誤・悔しいこと・哀しいことも必要であろうし、紆余曲折もあるに違いない。そんな時、私たち親にできることは手を差し伸べ過ぎてもいけないかもしれない。あえて教えないこと、ひたすら見守り続けることも必要であろう。忍耐のいる作業である。恵まれたいまの日本では、子育てのゴールがなかなか見えてこない。子育ての果てに何があるのか、そろそろ描いておかなければ・・・。