燕岳

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1日の始まりと締めくくり!

 平成25年9月 作 


平成25年9月1日作  司法書士矢田良一 

仕事の定年を65歳と決めたとして、仕事を超えた自分の人生に幾つまで現役でいられるだろうか? 定期的にアスレチッククラブでトレーニングをしている人を除いて、普通の私たちは体力もからだの切れも衰え、こころの切れも柔軟さが失われていく。ただ、時々朝の準備体操をするとからだが軽いことがある。特に十分なストレッチで、猫のように肩甲骨(上半身の中心だという)が柔らかく感じられるときは、一日爽快な気分で過ごせる。私たちは一日の始まりにどれだけからだのケアをしているだろうか。 

一流と云われるスポーツマンの一日の準備ははっきりしている。たとえば、イチロー選手の準備。ゲームのある日は、測ったように時間を組み立て、からだを作っていく。イチロー選手のレベルでさえ、「練習で100%自分を作らないと、打席に立つことは出来ません」、「自分の形を見付けておかないと、どん底まで突き落とされます」という。同様、サッカーの本田圭介選手も「勝負を決めるのは準備と語っている。イチロー選手や本田圭介選手レベルでさえ、からだのケアとして準備運動と整理運動に心血を注いでいる。  

さて、この10月4日に満102歳を迎える現役医師がいる。聖路加国際病院の名誉医院長である日野原重明氏である。彼の息の長い現役生活と健康寿命の長さの秘密は何だろうか? 昭和の初め、京都帝国大学医学部に現役で合格したが、翌年結核を患い、ほぼ1年闘病生活を余儀なくされた。当時不治の病と云われた結核で、日野原氏は奇跡的に再起された。そこに彼の強さの秘密があるような気がする。結核を患ったというハンデが、その後の彼の人生で、つねにからだへのケアに気づかう習慣を作らせたのだろう。それが、100歳を超えてなお、全国での講演のスケジュールは2・3年先まで一杯という長い現役人生を続けさせているのではないだろうか。 

若いころは若いということだけで体力もあり、からだも切れるが、年々必ず衰えていく。若い人並みに一日を充実したかたちで組み立てようとするなら、それを支える準備運動と整理運動という単純で当たり前のからだへのケアの営みが相当求められるだろう。そして、いつしかその習慣が人生の長い現役と健康寿命をつくっていくにちがいない。健全なる精神は健全なる肉体に宿るというが、年を重ねるごとにからだのケアと管理が重要になっていくのは間違いなさそうである。私たちは、一日の始まりと締めくくりのからだのケアにどれだけ力を注いでいるだろうかと秋を迎えて想う。