西穂高岳
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 2012年度予測を振り返って!
 平成24年12月 作 

日本記者クラブが、毎年、新年会の余興として行っている「予想アンケート」というのがある。「今年はどんな年に?」がテーマであるが、これが結構面白く、その年のビッグニュースや世相が浮かび上がっている。   

因みに今年は、@12月31日現在のわが国の首相は誰か、Aわが国で衆議院の解散があるか、B税率と実施年月日を定めた消費増税法案が成立するか、C外国為替市場で円高が進み、1ドル=60円台に突入することがあるか、Dユーロ圏からギリシャの離脱決定があるか、E米大統領選でオバマが再選されるか、F全国すべての地域で計画停電を回避できるか、GiPS細胞の山中伸弥京都大学教授がノーベル賞を受賞するか、H大相撲で日本人横綱が誕生するか、Iロンドン五輪でなでしこジャパンが金メダルを獲得するか、で終わる。 

ここに来ていよいよAの衆議院が解散した。すると@の野田佳彦首相の命運は全く不透明である。Bの消費増税法案は成立したが、Cの円高が進み1ドル=60円台に突入することはないだろう。Dのギリシャの離脱決定もなく、Eのオバマは再選された。Fの計画停電は回避でき、Gの山中伸弥教授はノーベル賞を受賞したが、Hの日本人横綱の誕生は、当分の間期待できそうもない。Iのなでしこジャパンは健闘したが、銀メダルに終わった。 

こうして振り返ると、全問正解はほぼ不可能に近いかもしれない。まだ少し早いが、過ぎし一年はどんな年だったのだろうか。 

尖閣諸島と反日デモを中心とした中国問題等を語らずして、今年を語ることはできないだろう。一時は、「この国は大丈夫だろうか」と憂える日本人は、私だけではなかったろうし、反日の嵐が中国全土に吹き荒れたといわれたが、果たして、その真相はどの程度だったのだろうか。たとえば、暴徒と化したデモ隊の襲撃により約五億円の損失を出した湖南省の平和堂が、撤退せずに、「再開できる感謝と閉鎖期間中のお客様の不便へのお詫び」の垂れ幕のもとに、六週間ぶりに営業を再開した。その「感謝」の文字を見た中国人が、ネットの中で、日本の品格ある企業文化に驚き、中国人自らを恥ずかしく思ったと話題をまいた。反日の嵐は、日本においても中国においても、ある意味、一部の政治家とマスコミに煽られた一面的な見かた、一色に塗り潰した見かたであって、報道ナショナリズムだったのではないか。このように一時の事件報道に翻弄されないためにも、広い視野・見識が求められるが、一年を振り返った時、その時代の社会でどういう人間の姿勢が称賛され、どういう人間が避難されるか、それはその国の文化の力によるのであって、これこそ、日本の底力ではないだろうか。 

                                       司法書士 矢田良一