ジャンダルム 
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タイトル; 

選択肢が多いほどいいという幻想! 

 平成25年1月 作 
 
 

スーパーで、ジャムの試食コーナーを設け、ジャム売る実験からこんな報告があるという。6種類のジャムと24種類のジャムの陳列棚、客の立ち寄った割合と動向を観察し売れ行きを調べた。訪れた客の割合は4対6で種類の多い売り場の方に人気があった。しかし、6種類のジャムの陳列テーブルを訪れた客のうち実際に購入したのは30%であったが、24種類のジャムの陳列テーブルを訪れた客のうち実際に購入したのはわずか3%に過ぎなかったという。人間は選択肢が多過ぎると決定できないことを示したコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の実験である。 

今度は、同様の二種類の売り場で、チョコレートを一つ自由に選んで試食してもらい、味の満足度を10点満点で評価し、味に点数をつけさせるとどうなるか。種類の少ない売り場の平均点数の方が、多い売り場を大きく上回ったそうである。選択肢が多過ぎると自分の選択に自信が持てず、その満足度も低くなるというのだ。 

選択肢が多いことは、豊かな証拠のはずであるが、多過ぎる選択肢にはマイナスもあるという。現状を維持する選択肢をし、得をしない安直な選択をする傾向となり、選択の結果に満足しない、つまりその選択肢による幸福度が少ないことになるらしい。確かに、景気のいい時の幾つかの就職先の中での就職と景気の悪い時のやっと就職できた時を較べると、気持ちの充実感は明らかであるようだ。 

こうして想いを巡らすと、選択肢が多いことは、自由に選べる可能性が広がり、より充実度は高くなり、豊かな証しであるはずだということはどうも幻想であるらしい。 

また、大都市東京での暮らしは様々において選択肢が多く、安城のような田舎での暮らしは選択肢が少なく、不便でもあるが、選択の充実度・満足度において、果たして大差があるだろうか。となると、選択肢が少なくても、豊かな姿を描くことができ、納得のいく道を見出すことは可能なのであろう。問題は、選択肢のないこと、隣国には未だそんな国があるようだし、日本にもかつて不幸な時代もあったけれど、最も恐れなければならないことは、国民の選択肢が失われる時代の雰囲気であるだろう。 

昨年は、多くの方にお会いでき、公私ともども大変お世話になりました。 

平成25年が、平和で安全な年であることを願っています。 

本年もよろしくお願いします。 
                            
司法書士 矢田良一