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四国遍路にみるつながりの回復
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平成27年1月 作 |
1200年前から脈々と受け継がれてきた四国遍路。かつては高齢者が多く、信仰心や死者の供養が主な目的だった。しかし近年、人付き合いがうまくできない・現代社会にうまく適応できない・社会で生きづらさを感じている若者が、自らの未来に変化を求めて特に増えているという。 1400キロに及ぶ山あり川ありの88か所の霊場を巡る道のりに何があるだろうか? 作新学院大学教授の福島明子さんはこう解説される。 お遍路さんは、最初から自分の心を見つめるということではなく、まずは長い道のりを必死で歩いて限界を感じます。体を酷使して、その中でだんだん自分の体が出来てくる。最初に自分の体と向き合って、余裕が出来て、少しずつ自分のことを考えられるようになる。 そうした中で、地元の人から、「お接待」を受ける。白装束などを身に着けたお遍路さんは弘法大師の代わりと受け継がれているので、行く先々で食べ物などのお接待を受ける。お接待は、歩いている人に等しくなされ、地元の人から受け入れられていることに気づく。 次第に、自分が今までこだわっていたことが少しずつ崩れていき、「ありのままの自分」を受け入れていくことができるようになるという。無理に自分のいいところを見つけようと考えなくても、今のままでいいと思えるようになり、自己肯定から新しい意欲が湧いてくる つまり、自分の体と向き合って、体と心がつながるという体験から始まる。それから地元の方のお接待を受ける中で、地元の方とお遍路さんのつながり、お遍路さん同士のつながり、さらに自然豊かなお遍路の中、自分の足で山や川や海岸を歩いて、自然とのつながりも感じられるという。 このお遍路の旅は、無条件に受け入れられていることから様々なつながりを回復していけるとご指摘される。 近い将来、お遍路の旅をしている自分に出会うかもしれない。
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